東北工業大学

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学長室

学長メッセージ集

No.47入学式 式辞(要旨)

2019.04.09

東北工業大学に入学した皆さん、おめでとうございます。
またこれまで皆さんを育て、支えてこられたご家族や関係者の方々にも心よりお祝いを申し上げます。
今年度の新入生は、工学部、ライフデザイン学部の学生932名、大学院工学研究科、ライフデザイン学研究科の大学院学生17名、新入生の総計は949名です。
東北工業大学は1964年に創立され、これまで35,773名の学部学生が卒業し、大学院の博士前期課程679名、後期課程36名の大学院学生が修了しています。
本学の建学の精神は「わが国、特に東北地方の産業界において指導的役割を担う高度の技術者を養成する」で、約半世紀にわたる活動は、地域を支え、社会に貢献しています。
本学のスローガンは「創造から統合へ-仙台からの発進」と定めていますが、これは建学の精神を端的に表し、本学の理念も表しています。
「創造」とは,学問や技術、製品、環境や豊かさを造り出すこと、そして人材を育成することです。また「統合」とはそれを応用して正しく役立てること、社会や人類に貢献することを表わしています。それを仙台で育み、仙台を出発点とするという意味です。
東日本大震災から8年が経過しました。被災した地域を再生し、東北の産業を発展させるため、本学の建学の精神に沿って大学のスローガンを実践することが、復興にも大きく貢献することになります。
さて、現代の大きな課題の一つは地球温暖化です。温暖化は、降水量の増加と集中豪雨化をもたらします。頻繁な気象災害が毎年地球上の各地で引き起こされており、その災害は、生命の危機とともに、社会や生活の基盤を揺るがしており、これまでの知恵や技術のみでは対応できない状況を招いています。このような気象変動の振幅の大きさは、不安を助長して国際情勢や人々の精神にも大きく影響しているようにも感じます。日本と他国との関係も、個人間と同じく信頼関係が構築されていなければ、不安定な関係に陥ります。またこころが不安定になれば、心の病とともに、いじめや虐待などの社会問題にもつながります。
平成という時代は、日本人の4人に3人は、良い時代と評価していることは喜ばしいですが、一方では、「平成」という願いとは逆に、平穏でない、変動の大きな時代であったことも事実です。このような時代でも日本は、自然への畏敬と、第四次産業革命といわれる技術を発展させてきました。国が提唱している人間中心の未来社会Society5.0は、ビッグデータを人工知能AIが解析し、その結果をロボット、IoTなどを介して人間にフィードバックする社会です。AIは、未来社会の新たな価値を創造するすべての分野での活用が期待されています。新しい元号「令和」の時代でも激しい気象変動という課題は続くでしょう。未来社会ではAIの活用をはじめとする、たゆみない技術革新が求められることは間違いありません。
本学は、未来社会でもスローガン「創造から統合へ-仙台からの発進」を実践し、社会や人類に貢献する大学を追求します。その実践の第一歩のため、本学への入学を機会に,私は皆さんに二つのことを望みます。
第一は,勉学で大切なことは、知識を単に受けとるだけでなく、自ら探究するという積極的な姿勢を持ってほしいということです。知識の受け入れのみでは創造はできません。自主的な勉学、探究によって新しいことが生まれます。つまり「創造」のための勉学の第一歩は,「日常における疑問点について、自分が納得するまで調べる」という積極的な勉学姿勢です。大学院においては自律性や探究心を一層磨くことを望んでいます。
二つ目の点は、自分の人格を磨く努力をして欲しいということです。社会で大事なことは互いに信頼すること、道徳心です。そのために皆さんには,運動系、文化系を問わず、クラブサークルなどいろいろな課外活動に参加することを勧めます。学内では同年代、同一学科の人間的交流はもとより、学年の枠を超え、また専門分野の領域を超えた交流ができます。楽しいこと、辛いことなどの活動におけるface to faceの交流は、コミュニケーション能力と論理的思考力、そして連帯のための適応力や協調性の感覚を向上させます。また学外の地域活動への参加は、世代間の交流を通して幅の広い価値観や人生の経験に触れ、考えの視野を大きく広げます。また社会事業やボランテイア活動への参加は、他人に対する思いやりやいつくしむ心を育みます。人の弱さや痛みを理解し、その人達に知恵と技術と誠意で暖かい手を差しのべることが大切です。「統合」という活動は、それを施す人の品格、人間性に大きく関わっています。人格を磨くことで統合する能力が培われます。
本学は、「創造から統合へ」というスローガンを実践できるように、教育の環境や体制を整えています。 また東北工業大学後援会や地域の方がたとの協力、東北工業大学同窓会との連携など、本学に在学中の皆さんの学内外における学修環境を整えています。
皆さんの夢や目標が達成できるように、本学は皆さんを全力で支えていきます。ご父母の皆様、ご来賓の皆様方にもご協力、また励ましをお願いいたします。
皆さんは本日東北工業大学の一員として加わりました。社会、人類に貢献する東北工業大学を誇りとし、みなさんひとり一人の将来のため本学で意義のある学生時代を過ごしてください。以上をもって式辞とします。

平成31年4月3日
東北工業大学 学長 今野 弘