東北工業大学

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学長室

学長メッセージ集

No.11女子特別選抜の導入について

2023.05.01

 今般、東北工業大学は、工学部を対象に公募制推薦型女子特別選抜を導入いたします。その背景や狙いについて若干の説明をし、皆様のご理解を頂戴いたしたく存じます。
 そもそも大学そして学問は、真理の探究を通じて新たな知識や技術、視座、場などの創出を志向するのが本来ですので、性別はもちろん、立場(教員か学生か)や年齢等々によって、不当な扱いや学修機会の制限を課すようなことを排除しなければなりません。多様性の確保こそInnovativeでImaginativeな学術研究の源泉であります。
 ただし特に女性は、これまでの慣行や性別による固定的な役割分担意識などが原因で、男性よりも能力を発揮しにくい環境に置かれている場合があり、こうした状況を是正するための取り組みが求められています。内閣府男女共同参画局はこのような是正の取り組みを「ポジティブ・アクション」と呼び、「一般的には、社会的・構造的な差別によって不利益を被っている者に対して、一定の範囲で特別の機会を提供することなどにより、実質的な機会均等を実現することを目的として講じる暫定的な措置」と定義づけています。アメリカ合衆国由来の「アファーマティブ・アクション」(Affirmative Action)、もしくは和訳として積極的(差別)是正措置と呼称することもあるようです。加えて内閣官房教育未来創造会議の第一次提言においては、日本の理工系分野の女性入学者の割合が他国に比較し圧倒的に低いことを踏まえ、特に理工系分野での女性活躍の必要性が主張されています。
 本学の工学部を対象とする公募制推薦型女子特別選抜(入学金相当額の奨学金の給付)の導入は、上述の「ポジティブ・アクション」の考え方に基づいています。もちろん、この新たな選抜方式の導入で実質的な機会均等が達成されるほど単純な課題ではありません。本学においても関連する諸課題の精査・検討をさらに進めておりますし、社会的・構造的課題の是正はまさに今、国を挙げて取り組みが進められているところです。
 東北工業大学にとってこの女子特別選抜は、「ポジティブ・アクション」としてまず一歩踏み出した施策であります。現時点では対応は十分でないかもしれません。ただ本学が、課題を認識し一層の是正・改善に継続的に取り組んでいることをご理解いただき、是非とも志願していただきたいと、希望する次第です。

2023年5月1日
東北工業大学 学長 渡邉 浩文